謹賀新年

4043583_m新年あけましておめでとうございます。

 しかし、この新たな年を、心からよろこび、こと祝ぐ気分で迎えることができる人は、いまの日本にはそれほど多くはいないのではないかと思っています。

 いまだ収束の気配が見えないコロナウィルスの流行・蔓延、度重なる政策変更と迷走する政治、迫りくる医療サービスの逼迫、長期化する経済活動の停滞と雇用・生活不安……。
コロナ禍は、わたしたちの国や社会の脆弱な部分を襲い、残酷なかたちでこれらの問題をさらけ出します。

 この一年、わたしたちは生活をいちじるしく制限され、気軽に移動することや友人などと集まることもままならない毎日を過ごしてきました。
もともと人が移動できるということは、集まったりコミュニケーションしたりすることの基盤であり、それ自体価値でありました。
しかし、いま、人々が移動すること自体がリスクだと言われます。

 街では、道ゆく人は皆マスクをし、間隔をとって歩くことが勧められます。
食事は「三密」を回避するため、テイクアウトが一般化しました。イートインでもソーシャルディスタンスを確保するか、アクリルの衝立で仕切られた一人分のスペースで食事をします。
宴会はすっかり姿を消し、会議はオンラインが主流になりました。この一年の間に、わたしたちがいつも目にしていた光景や「当たりまえ」が大きく変わりました。

 しかし、そのような中にあっても、わたしは人と人との創造的なコミュニケーションにおいて、移動できること、集まることができることの重要さはいまも何ら変わっていないと思うのです。
むしろ、いまほど、たくさんの人々の知恵を集め、議論し、導き出された創造的なアイディアを用いて、わたしたちの国や社会の問題を解決することが求められているときはないのではないかと思っています。

 近くにいても、離れたところにいても、人々の集まるところに問題解決の種があるはずです。
わたしども、主婦会館プラザエフは、近くにいても、離れていても、人々の集まる「場」を提供しつづけようと思っています。
衆知の「場」をつくることがわたしどもの役割の一つであると考えています。コロナ禍は、改めてそのことに気づかせてくれました。



主婦会館プラザエフ理事長
石岡克俊